丸ごと食べることもある「その他の野菜」だから、残留農薬検査は大切

虫が付かないように野菜を育てるためにはどうしてもかけなければならない農薬ですが、ヒトの身体に無害であるとは限りません。出荷の際によく洗っている、と言われても残留農薬は気になりませんか。食品分析で、食品に残存した農薬を分析、その残留量を計測することが出来ます。

安心して皮ごと野菜を齧りたい、そんな安心を支える検査です。

残留農薬から私たちを守ってくれるモニタリング検査

農林水産省が定める「その他の野菜」とは

私たちが食べる野菜は、農林水産省が定める野菜の分類においては「緑黄色野菜」と「その他の野菜」に大別されます。「緑黄色野菜」とは、カロテンという色素を含んだ野菜のことを指しています。一例として、ニンジンやトマト、ブロッコリーなどがありますが、目に鮮やかな濃い色の野菜であることがお分かりでしょうか。

この濃い色の色素がカロテン、という色素に由来する部分であり、このカロテンはヒト体内でビタミンAに変換され、目の健康などに役立てられます。その「緑黄色野菜」に分類されない、色素の比較的薄い野菜が「その他の野菜」として扱われます。

例えば、カリフラワーやキャベツ、タマネギなどの野菜が該当しますが、緑黄色野菜と比べて皮まで含めて可食部にしている野菜も少なくないのが特徴です。また、ナスも「その他の野菜」にカテゴライズされますが、あんなに濃い色の皮をしているのに「緑黄色野菜」に分類されないのは不思議ではありませんか。

実は「緑黄色野菜」は皮だけでなく、可食部の芯までしっかり色がついているもののみを指すのです。ですので、皮を剥いたら真っ白な身が現れるナスは「その他の野菜」に分類されるのです。面白いことに、ダイコンやカブであれば葉の部分は「緑黄色野菜」として扱われ、土の中で育つ白い部分は「その他の野菜」として分類されます。

同じ野菜の部分であっても、部分によって全く栄養素が異なるということも、どんな野菜を食べるとどんな栄養を摂取できるか、ということを考える上で大切なところではないでしょうか。味わいも全く違うので、それぞれの味わいを楽しめる調理法を検討してみるのは野菜の良いところを引き出すために必要なことですね。

地下に埋まっている部分が多い「その他の野菜」でも農薬は無視できない

ダイコンやカブの白い部分、イモ類や落花生、タマネギなど地下に埋まっている部分が可食部となっている野菜は、地表に露出している部分をあまり食べることがありません。一般的な農薬の散布方法はヒトが農薬のタンクを担いでシャワーのように野菜にかけていくか、ヘリコプターのような装置を使って高いところから散布する方法がメインです。

この方法によって農薬が最も付着する部分は葉や茎ですので、地下に育つこれらの「その他の野菜」は可食部を食べるときに農薬を心配しなくていいでしょうか。実は、こういった野菜の生育環境でこそ農薬の散布の影響をそこまで受けませんし、収穫後に水や洗剤で洗うなどの処置を施しているものの、ポストハーベストと言って防カビ剤を出荷前にかけることがあるのです。

このポストハーベストは長い間輸送したり、大量に運んだりする必要がある輸入野菜に多く見られると言います。結局のところ、オーガニックという看板を掲げていない野菜であれば、農薬に晒されているリスクはあるのです。

そのため、残留農薬が気にかかるのであれば、本当に自分が購入する生産者や販売者が信頼に足るかを見極める上でも、食品検査を行うことも必要なのです。

農薬のリストであるポジティブリストとは

農薬の話をすれば、ポジティブリストという言葉を聞いたことがあるでしょうか。厚生労働省などが定めるリストであるこれは、端的に言えば残留農薬としてある程度の濃度が検出されることを許可しているか、禁止しているかということを区別しているに過ぎません。

ポジティブリストに記載されている食品添加物は、例えば亜鉛などのミネラルであったり柿のタンニンなどの自然由来の抽出物であり、人体に対して鼻梁であれば影響は無いだろう、と推定されたものです。逆に、ポジティブリストに記載されていない農薬が検出された場合は、ヒトへの影響が否定できないので輸入禁止になったり、生産経路について監査が入ることになります。

原則、日本の輸入管理ではポジティブリストに記載されていない農薬が付着した野菜が、そのままの生野菜として輸入されてくることはそれほど多くはありません。しかし、加工品ともなると話は別です。農薬が残留した野菜を使用した加工品が輸入されていることもあり、過去に残留農薬の毒性のために輸入加工食品の健康被害がありました。

こういった場合の原因究明にも残留農薬検査は行われ、どのシーンで混入した農薬なのかという再発防止への取り組みにとっても大きな役割を果たします。

残留農薬検査の実際

生鮮食品の残留農薬は0.01ppmという非常に微量なところまで計測できるのが、現代の食品分析技術です。しかし、加工度が高い食品であれば担保できる制度は0.05ppm程度まで低下してしまいます。加工品であれば農薬の残留を見抜けないケースもあるということですが、健康被害が生じるような濃度であれば、まず検出できないという事はありません。

味や食後の体調がおかしい、と思ったときに原因の特定を行うには問題の無い精度であると言えるでしょう。残留農薬の食品分析では、よく使用されている農薬をリストアップして、まとめて分析するセットメニューにしている施設も少なくはありません。

包括的に調べたい場合はこちらのメニューを使用すればいいでしょう。ある特定の生鮮食品のみ調べたいのであれば、その食品に特有の農薬や気になる項目のみを調べるべきです。セットメニューで包括的に調べる場合では10万円程度のコストを見込む必要がありますが、300項目が一度に調べられます。

ある項目を特別に調べようとすると1項目あたり2万円程度のコストがかかることを考えれば大変お得です。

家畜飼料の残留農薬も調べられる時代

ウシやブタなどの食肉にも農薬が含まれていることがあります。ウシやブタが病気にならないように投与した抗菌薬が残っていることも少なくはありませんが、牧草や野菜くずなどを飼料として与えていた場合には、農薬が食肉にも残ることになります。

どうしても農薬が気になる、農薬に関するアレルギーがあるなどの問題がある消費者の方であれば、こういった食肉に含まれている残留農薬も調べてみるとさらに健康的に生活できるのではないでしょうか。食品検査では、こういった微量な残留農薬も検出することが出来るのです。

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